1. MUUUUU.ORGに集まっているサイトの傾向
Q. どんなサイトを優先して掲載していますか?
A. 一言で言えば「MUUUUU.ORGらしいサイト」に惹かれます。
世の中には技術的に最先端の表現を集めた素晴らしいギャラリーサイトもありますが、MUUUUU.ORGは少し違う立ち位置を目指しています。企業サイトや採用サイトといった、多くの制作現場で遭遇するような条件下で制作されるサイトを紹介する場が少なかったことから始まりました。
そのため、特別な条件や予算がなくても「よく考えられているな...!」「見えにくい部分をすごい工夫されているな...!」と感じるサイト、つまり制作者の皆さんが日々の仕事で参考にしやすいサイトを優先して掲載させて頂くようにしています。具体的には、レイアウトの整合性、情報階層の明確さ、ユーザー導線の設計、コンテンツとビジュアルのバランス、といった点から学ばせてもらっています。私自身が制作者として「このサイトは本当に良くできている」と感じたものを、同じ立場の方々と共有したいという想いで運営しています。
また、MUUUUU.ORGではWebデザイナーの仕事を紹介することを大切にしたいと思っているので、実装技術よりもデザインを優先して掲載させて頂いております。
サイトを見る時は、3つの視点を意識しています。制作されたクリエイターの視点、依頼されたクライアントの視点、そして実際にサイトを訪れるユーザーの視点。この3者それぞれにとって価値があると感じられるサイトに惹かれます。
Q. 「縦長レイアウト」以外に、何か傾向はありますか?
A. 現在のWeb制作において、縦長レイアウトは主流の形式です。
かつてはFlashサイトが制作者の花形で、1画面の中でUIが次々と入れ替わるような表現が人気でした。一方でMUUUUU.ORGは、そうした派手で特殊な条件を必要とするサイトではなく、多くの制作現場で遭遇するような条件下で、いかに良い設計・良いデザインを実現されているかに注目しています。
制作者の皆さんが実務で活かせる工夫やアイデアが詰まったサイトに出会えると嬉しいです。
Q. 逆に、あまり掲載しない系統のサイトはありますか?
A.
外部で制作されたビジュアル素材や動画が主役になっているサイトは、個人的にあまり率先して掲載していません。もちろん、デザイン会社が撮影やグラフィック制作まで手がけられているケースも多くあります。ただ、素材の力だけでサイトの印象が決まってしまう場合、Webデザイナーとしての工夫や努力が見えにくいと感じる場合があるためです。
同様に、実装技術が非常に高度なサイトについても、エンジニアリングの素晴らしさを讃える場が他に多くあるので、MUUUUU.ORGでは別の役割を担えればと考えています。また、あまり通常あり得ない特殊条件が重なっているサイトは、世のデザイナーが自分ごととして参考にしにくいかもしれないと感じています。
Q. テンプレートやノーコードで作られたサイトはどうですか?
A. ノーコードツールで作られたサイトについては、最近のツールはクオリティが非常に高くなっているので、制作手法による区別は特にしていません。サイトの完成度や設計の良さで掲載させて頂くか決めさせて頂いております。
2. デザイン面について
Q. デザインのどんなところを見ていますか?
A.
クライアントがどのような要望を持たれていて、それにどう応えているのかを想像しながら見ています。先進的で見たことのない表現だから良いというわけではなく、そのサイトに適した表現ができていると感じられるサイトを優先して掲載させて頂いているかもしれません。
また、私自身も制作者なので「自分が作るとしたらどうするだろう」と考えながら見ることで、よく考えられているなと気づいたり、新しい表現に挑戦されているサイトから学ばせてもらっています。
Q. 写真やイラストなどの素材はどう見ていますか?
A. 良い素材を集めることもディレクターの大切な役割だと思っています。制作会社が自前で素材まで作っている場合と、外部素材を活用している場合とがあり、それぞれに工夫があると感じます。素材も含めてデザインだと考えているので、全体のバランスで見みさせて頂いております。
Q. サイト全体をどう見ていますか?
A. できるだけ全体を見るようにしています。ファーストビューだけでなく、下層ページの作り込みや、サイト全体を通してどれだけ考えて作られているかを感じ取るようにしています。
業種に合わせたコンテンツの用意の仕方、図版の作り込み、大企業であれば展開時のデザインシステムなど、細部まで見させてもらっています。ナビゲーション類も、ユーザーのことを考えた設計になっていると感じるサイトを優先している掲載させていただいているかもしれません。
サイト全体を通して一貫したクオリティを保っているサイトには、いつも感心させられます。下層ページまで丁寧に作り込まれているサイトを見ると、制作者の誠実さが伝わってきて、こちらも襟を正される思いです。
Q. スマホ表示も重視していますか?
A. スマホ表示だけが優れているという理由で掲載させて頂くことは少ないかもしれませんが、PCとスマホ、どちらも同じように見ています。
両方の画面サイズで快適に見られるよう配慮されているサイトを見ると、ユーザーへの思いやりが感じられて勉強になります。
3. 実装・技術面について
Q. アニメーションや演出についてはどう考えていますか?
A. 適材適所だと思っています。アニメーション自体がユーザーの満足度に直結するシーンであれば素晴らしいと感じますし、外から見て過剰だと決めつけることはできないと考えています。
ただ、明らかにユーザーが求めていないシーンでの過剰な演出については、個人的にはあまり好きではありません。この判断は難しいところですが、ユーザー視点を大切にしたいと思っています。
Q. 広告やポップアップが多いサイトはどうですか?
A. ユーザーに嫌がられずにうまく広告を配置するというのは、実は技術力が高いことだと思っています。ビジネスとユーザー体験のバランスを取られているサイトからは、勉強になることが多いです。
4. トレンドとの関係性
Q. 「よく見るレイアウト」でも掲載されることはありますか?
A. もちろんあります。コンテンツが良い、適材適所である、使っているビジュアルの作り込みが高い、サイト自体の画面設計が良い、サイト設計が良い。よく見るレイアウトだから悪いということは全くないと思います。
中身をしっかり見ていますし、適切なタイミングでの表現なのかを大事にしています。よく見るレイアウトでも、丁寧に作り込まれているサイトからは学ぶことがたくさんあります。
Q. 奇抜なデザインについてはどう考えていますか?
A. これも適材適所だと思っています。常にWebデザイナーが参考になるかという軸も大切にしていて、参考になると感じるサイトに出会えると嬉しいです。奇抜であることが目的になっていないか、という視点で見ています。
Q. 数年前に紹介したサイトを今見て「今なら紹介しないな」と思うことはありますか?
A. あります。更新を重ねていってどんどん破綻していくサイトってありますよね。逆に、何年経っても頑丈に保たれているサイトはすごいなと思います。
何年たっても古く見えないサイトもまれあって、本当にすごいと感心させられます。そういったサイトを作られた制作者の方の先見性には、いつも学ばせてもらっています。
5. 紹介するかどうか迷う時のこと
Q. ギリギリ掲載しないとする時はどんな時ですか?
A. コンテンツのボリュームが足りない時が多いです。
デザインがどれだけ美しくても、サイトとして伝えるべき情報がしっかり整理されて掲載されているかは、Webサイトの重要な要素だと思っています。目安としては、トップページだけでなく2階層以降の下層ページまで設計されている、主要なコンテンツページが複数ある、各ページに十分なテキストと図版が用意されている、といった点です。コンテンツの充実度も含めて優れたWebサイトだと考えております。
Q. 一見シンプルだけど紹介したサイトは、どこに惹かれましたか?
A. 月並みかもしれませんが、余白の取り方とフォントの選択・使い方です。
シンプルなサイトこそ、こうした基本的な要素の扱いで差が出ると感じています。意図的にシンプル、ミニマルにデザインしたサイトは見ていてよくわかりますし、その判断力と実現力に感動することは多いです。また、汎用的に参考にしやすいかという視点も大切にしています。引き算のデザインができているサイトからは、学ぶことが本当に多いです。
Q. 「好みではないけど紹介する」「好きだけど紹介しない」ということはありますか?
A. どちらもあります。
自分の好みではなくても、ユーザーが喜んでいるであろうサイトは率先して紹介させて頂きたいと思ってます。例えば、ターゲットに適した設計がなされている、業界特性に合わせた情報設計ができている、クライアントの課題解決につながっていると推測できる、といったサイトです。逆に、私自身がクリエイターとして好きだと思うサイトであっても、それがクライアントやユーザーのためになっていないと感じる場合もあります。
ただし、最終的に紹介するかどうかは私個人の視点と経験に基づくものであり、完全に客観的なものではありません。他のギャラリーサイトや他の制作者が素晴らしいと感じるサイトとは異なる場合もあることは、ご理解いただければと思います。
Q. クライアントワークの制約が見えるサイトはどうですか?
A. そういったサイトを特に掲載させて頂きたいと思っています。制約があってこそのデザインだと思っているためです。地味に見えてもとても考えて作られたサイト、制約の中で最大限の工夫をされているサイトを讃える場所がMUUUUU.ORGだと思っています。これは運営の中で大切にしているポリシーです。制約の中でクリエイティビティを発揮されている制作者の方々からは、いつも学ばせてもらっています。
6. サイトを見つける方法について
Q. どうやってサイトを見つけていますか?
A. 社員総出で候補を出し合って、私が最終判断をすべてにしている形をとらせて頂いております。一人で見つけられるサイトには限界があるので、チーム全体で日々アンテナを張りながら、良いサイトを探しています。様々な視点からサイトを見ることで、私一人では気づけなかった素晴らしいサイトに出会えることも多く、チームで運営できていることに感謝しています。
Q. 自薦と他薦、どちらが多いですか?
A. 今までは推薦を受け付けていなかったのですが、今回から受け付けできるようにさせて頂きました。制作者の皆さんが自信を持って作られたサイトや、素晴らしいと感じたサイトを直接教えていただける機会は、とてもありがたいと思っています。これまで以上に、多くの良いサイトと出会えることを楽しみにさせて頂いております。
Q. 1日(または1週間)にどのくらいのサイトを見ていますか?
A. 仕事として毎日サイトを見させていただいています。
新しく公開されるサイトを日々チェックすることで、Web制作のトレンドや工夫の変化を感じ取ることができますし、私自身の勉強にもなっています。毎日たくさんの素晴らしいサイトに触れられることは、この仕事の醍醐味だと感じています。
おわりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
MUUUUU.ORGで紹介させていただくサイトについて、私が日々感じていることや考えていることをまとめました。このページを作った理由は、「誰が、どんな視点で良いと感じているのか」その透明性が大事だと思っているからです。
ギャラリーサイトに掲載されているからといって、それが絶対的に優れているわけではありません。あくまで、私が自分なりの視点で「素敵だな」「勉強になるな」と感じたサイトを紹介させていただいているに過ぎません。だからこそ、どんな視点で見ているのかを明らかにすることで、見てくださる方々が自分自身で判断できる材料を提供したいと考えました(それ故にクオリティがもの凄く高くても掲載コンセプトと合わず掲載を見送っている場合も多くございます)
Web制作の現場では、日々たくさんの制作者の方々が、様々な制約や条件の中で工夫を重ねながら素晴らしいサイトを作られています。MUUUUU.ORGは、そうした地道な努力や丁寧な仕事を讃え、同じ制作者同士が学び合える場でありたいと思っています。
紹介させていただいているすべてのサイトの制作者の皆さま、そしてMUUUUU.ORGを見てくださっている皆さまに、心から感謝申し上げます。これからも、皆さんの日々の制作の参考になるようなサイトを紹介していけるよう、また私自身デザイナー、制作者として技術を高められるよう努めてまいります。
もし紹介させていただく際に大切にしていることについて疑問や質問がありましたら、お気軽にお声がけください。
ムラマツヒデキ